エジェクタピンの溶損対策

今回は溶損についてお話します。

溶損とは

溶損とは、溶湯がダイカスト金型表面部に当たることで、金型が侵食されて減耗し、凹み部分が発生することです。ランナー、ゲート、キャビティへ溶湯が衝突した際に発生する減耗や、部分的な過熱によって金型が溶湯に侵食され溶損が発生します。

溶湯が高速で金型へ衝突するなど機械的、または物理的な侵食による溶損をエロジョン(Erosion)、溶湯と金型との化学的な反応により発生した溶損をコロージョン(Corrosion)と呼びます。実際には、エロジョンとコロージョンは同時に発生していると推定されています。一般に、溶湯の衝突スピードが速い、溶湯温度が高い、浸漬時間が長いほど溶損量が大きくなります。

金型の溶損対策

エロジョンに耐えるためには、金型の硬さを上げることが重要です。硬さを上げることで物理的侵食による摩耗量を少なくできます。コロージョンを防ぐには、溶湯と反応しにくい材質を選定することです。化合物層を形成する窒化やCrNなど表面処理を施すことで、金型と溶湯の直接的な接触を避ける対策も有効です。

エジェクタピンの溶損対策

当社のエジェクタピンは、ガス窒化処理を採用しており、表面に化合物層と拡散層を形成しています。化合物層は溶湯との反応が起こりにくい性質があり、耐溶損性を高めます。深い拡散層も溶損対策に有利に働きます。母材と比較すると、拡散層の方が耐溶損性に優れるためです。当社の窒化処理は、処理時間を長くすることで窒素を拡散浸透させ、拡散層を深くしています。

また、溶湯がエジェクタピン穴へ少しずつ侵入することで、コロージョンが始まり、溶損が進行しエジェクタピンが摩耗していきます。やがて溶損量が増加すると、製品不良やエジェクタピンの折損に繋がる可能性があります。よって、溶損の進行を防ぐためにエジェクタピン穴とエジェクタピンのクリアランスを少なくし、未然に溶湯の侵入を防ぐことも溶損対策のポイントとなります。

エジェクタピンの溶損を予防するためには、第一にエジェクタピン穴とのクリアランスを考慮した軸寸法のエジェクタピンを選定することです。さらに、軸精度、真円度、真直度が優れ、深い窒化層が形成されたエジェクタピンの選定することで溶損の進行を抑制することができます。結果的に金型やエジェクタピンの長寿命化に繋がり、ダイカストの生産性を高めます。

当社では窒化層が深く、高精度に仕上げたエジェクタピン生産しています。溶損にお困りの際は、お気軽にお問合せください。

>>エジェクタピンの折損を防ぎ、ダイカスト生産性を向上させる秘訣

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