エジェクタピンとリターンピンの違いとは?

皆様はエジェクタピン(押出しピン)とリターンピンの違いはご存知でしょうか。意外と知られていませんが、これらの製品には明確な違いがあります。そこで、今回はこのエジェクタピンとリターンピンの違いについて詳しく説明します。

エジェクタピンとは?

エジェクタピンとは、ダイカスト金型からダイカスト鋳造品を取り出すためのピンを指します。型締め注湯後、エジェクタピンの軸端面部が、ダイカスト鋳造品に接触します。その後、型開き押出し工程にて、押出板が押されることでエジェクタピンが摺動し、ダイカスト鋳造品を金型から取り外すサポートの役割を果たします。

エジェクタピンに求められる機能

エジェクタピンが折損してしまうと、ダイカスト鋳造の生産性低下・品質低下、コスト増加に直結します。そのため、エジェクタピンには、ダイカスト鋳造時の熱・応力・負荷に耐え得る優れた靭性、熱間強度が求められます。また、これらの特性に加えて、折損をはじめとしたあらゆる不具合を防ぐために、耐摩耗性、耐溶損性、真直度、円筒度が求められます。

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リターンピンとは?

リターンピンはエジェクタプレートやエジェクタピンを元の位置に戻すためのピンです。型締めの際にリターンピンの端面部がエジェクタピン端面部より先に固定側型板に当たることで、押出板を元の位置まで戻します。このリターンピンは、エジェクタピンより制約が少なく、形状は棒形状です。ちなみに、強度を安定させるためリターンピンの軸は大きくなる傾向にあります。

リターンピンに求められる機能

用途の特性上、リターンピンは突き出し・押出しの動きが連続するため、優れた硬さ、粘り、耐摩耗性が求められます。ただし、直接溶湯に接触することはありませんので、耐熱性は求められません。そのため、材質としては、120℃程度まで耐え、安価である高炭素クロム軸受け鋼のSUJ2が多く使用されています。その他には、強靭な炭素工具鋼や、硬く、靭性のある合金工具鋼が使用されることもあります。

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いかがでしょうか。当記事では、エジェクタピンとリターンピンの違いについてご紹介しました。

秦精工では、高精度且つ、高耐久を兼ね備えたエジェクタピンの製作を得意としております。また、素材にSKD61よりも高靭性な株式会社プロテリアル製DAC®を採用することで、エジェクタピンによる鋳造トラブルの低減も併せて実現します。

さらに、当社では、エジェクタピンをΦ2からΦ20、最長1200Lまで幅広くラインナップしています。標準品は当社内で保管しており、最短で当日出荷にも対応します。また、お客様が重要視する項目に合わせ、形状、材質、熱処理、表面処理変更等のカスタマイズに対応することが可能です。ご要望を頂ければリターンピンの製作にも対応いたします。

お気軽に秦精工にご相談ください。

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